オプション取引とは、「権利」を売買する取引のことをいいます。
オプション取引のイメージとして、以下の例を挙げて説明します。 Aさんは、B社の株式を購入したいと考えています。 現在の株価は1株5千円で、100株ほど購入すると、50万円が必要です。しかし、この資金の目途が付くのは6カ月後です。Aさんは、6カ月後の株価はもっと値上がりしているのではないかと心配しています。だからといって、1株5千円で買うという約束もしたくありません。なぜなら、6カ月後の株価が5千円以下に値下がりしていた場合、約束の5千円で買うことになるのは、気が進まないからです。 そこで、Aさんは、6カ月後に5千円でA社の株式を購入できる権利を買っておくことにしました。6カ月後に、AさんはB社の株式を5千円で買うこともできるし、買わなくても良いわけです。つまり、権利を行使するか、それとも放棄するか選択することができます。 このとき選択の基準となるのは、その時の株式市場のB社の株価です。 実際に6カ月後、B社の株式は6千円に値上がりしました。 このとき、AさんはB社の株式取得のために、株式市場において6千円で購入するよりも、以前から持っていた5千円で買う権利を相手に行使して購入するほうが得です。そのときの株式市場の価格で買うよりも、1株あたり千円安く買うことができるからです。実際には、5千円で買う権利を手に入れるために支払った代金分、Aさんのもうけは千円より少なくなります。 では、逆にB社の株式が、6カ月後の株式市場で4千円に値下がりした場合は、どうでしょうか。この場合、Aさんは、B社の株式を取得するために持っている5千円で買う権利は行使せず、通常の売買の方法で、株式市場において、市場価格(1株4千円)で買うほうが得です。ただし、この場合にも5千円で買う権利を手に入れるために支払った代金分は、損失になってしまいます。 次に、オプション取引をする上で、様々な専門的な用語が出てきますので、その説明を少ししたいと思います。 まず、権利行使できるオプションには、以下のようなタイプがあります。 ヨーロピアンオプションは、権利行使が満期の1回だけできるタイプ アメリカンオプションは、満期までのいつでも権利行使できるタイプ オプションには商品を買う権利であるコールオプションと、商品を売る権利であるプットオプションの2つがあります。 ちなみに、オプション取引の対象となる商品のことを原資産といい、あらかじめ決めておく売買価格のことをコールオプション(行使価格)といいます。 将来、ある商品を買いたいけれど価格が上昇してしまう恐れがある場合、コールオプションを買っておきます。売買時の市場価格が行使価格より高くなった場合は、権利行使により、商品を市場価格より安い行使価格で買うことができます。 反対に、売買時の市場価格が行使価格よりも低くなった場合は、権利を放棄します。市場価格で買う方が行使価格より安く買うことができるからです。 次に、あらかじめ決めた行使価格で商品を売る権利のことをプットオプションといいます。 将来、商品を売却する予定があるけれども、価格が下落する恐れがある場合、プットオプションを買っておきます。売買時の市場価格が行使価格より下がれば、権利行使することで市場価格より高く売ることができます。 反対に売買時の市場価格が行使価格よりも高ければ権利を放棄します。市場価格で売る方が行使価格よりも高く売ることができるからです。 オプション取引は損失を限定することができたり、相場が動かない時にも利益を出したりすることができ、活用することで取引の幅を広げることができる取引です。...